真言宗総本山「教王護国寺(東寺)」
京都のシンボルとも言える五重塔は東寺こと、教王護国寺にあります。
平安遷都の際に建立されたお寺で、当時は西寺と対となっていました。
空海による真言密教の根本道場として栄え、世界遺産にも登録されています。
慶賀門から東寺に入って、拝観料500円を納めて金堂、講堂、五重塔を拝観できます。
入り口奥にそびえる、五重塔は過去4回焼失していますが、日本最高の高さを誇っています。
その一層目には天邪鬼が鎮座していたり、それはちょっと宝探しのような遊び心を感じます。(特別拝観日でないと五重塔内部は拝観できません。詳しくは→京都市観光協会へ)
東寺で絶対に外せない講堂には、空海がもたらした密教の教えを、仏像を使って3Dで見せてくれる「立体曼荼羅」があります。
密教の最高仏尊である大日如来を中心に、名だたる仏たち21体が曼荼羅の通りに配置してあり、その密教の教えを見せてくれるのです。
視覚的に見せてくれる仏像たちの圧倒的な迫力と、その造形の美しさは見事としか言いようがありません。
中でも、四天王のリーダーである国宝の「帝釈天半跏像」はイケメン仏として名高く、フィギュアにもなるほどです。
白い像にまたがり、密教の法具である、金剛杵を手にしています。
他にも金剛夜叉明王も国宝に指定されており、同じく密教の法具を手にしています。
怒れる仏様の明王も、密教の仏で、如来の化身とされているそうです。
講堂にある仏像のうち、国宝はなんと15体!東寺は仏像だけを見ても博物館級。
見ごたえがあります。
金堂では、天竺様の構造法を用いた豪放雄大な気風のみなぎる桃山時代の代表的建築ですが細部には唐・和風の技術も巧みに取り入れています。
本尊は薬師如来坐像と右に日光菩薩、左に月光菩薩。光背上には七躯の化仏を配して七仏薬師をあらわし、台座の周囲には十二神将像を配しています。
また、西門あたり伽藍の西北部にある「大師堂」は弘法大師の住房で、大師の念持仏、国宝・不動明王一躯が安置され不動堂とも呼ばれています。
堂内には不動明王と弘法大師像が祀られ、弘法大師信仰の中心となっている御堂です。
大師堂の敷地内に、高野山奥之院のお大師様にお参りができる、高野山奥之院の碑があります。「ここより南方に高野山があります。・・・」と。
そんな世界遺産である東寺では、毎月21日に弘法市が開かれて、毎回多くの人で賑わいます。
東寺の縁日「弘法さん」として親しまれ、観光ツアーも組まれるほどの人気ぶりです。
参拝するだけで密教の教えを体感できたり、広大な伽藍の建物も国宝をはじめ、貴重な文化財が見られます。
弘法大師が生まれ、修行を行った四国八十八ヶ所。
東寺は高野山と共に、八十八ヶ所への出発のお参りや、結願したお遍路さんがお礼参りを行うお寺です。
東寺は、京都有数の観光寺院という側面を持ちながらも、空海の教えと共に日本人の心に寄り添う名古刹です。
東寺までのお薦めのコースは、JR京都駅から市バス水族館シャトル号で梅小路公園下車。京都市水族館でイルカショーを楽しんだ後に、東寺まで徒歩10分です。
真言宗智山派「総本山智積院」
JR京都駅から京都市バス「東山七条」下車。七条通りの交差点東側にそびえる大きな門があります。智積院の総門です。
智積院は総門からは入れません。少し南へ行くと左手に入口があります。
入口から柱だけの門があります。門を進むと凛とした雰囲気の中、金堂へと向かいます。
金堂への途中、左手に「仏足石」があります。お釈迦様の入滅前に残された足裏の跡で、印度では古くから聖者の足跡として深い信仰があります。
金堂には本尊の藤原様式で造られた大日如来に祀られています。
ご本尊の前にすると、張り詰めた空気の中で自然に手を合わせてしましまう。
金堂は寺院の中心となるお堂で智積院ではさまざまな法要を行う場所です。
金堂の右手に明王殿があります。
明王殿は、智積院の護摩道場、祈祷所であり、不動堂とも呼ばれています。
本尊の不動明王は紀州根来寺より伝来したといわれており、麦つき不動とも呼ばれています。
このお堂は以前、京都四条にある浄土宗・大雲寺の本堂で、智積院の旧本堂焼失の際に譲渡されました。
金堂の左手には、大師堂があります。
大師堂は、真言宗宗祖弘法大師空海のご尊像をおまつりしています。
金堂、明王殿、大師堂とお参りした後、参道左手にある拝観受付で拝観料500円を納めると、正面に講堂を仰ぎ見ます。
智積院の講堂には日本画壇の第一人者、田渕俊夫画伯(前東京芸術大学副学長)の襖絵が奉納されています。
「日本の春夏秋冬」を題材にした墨絵は、自然のもつ雄大さの中に全ての生きとし生けるものを包み込み育むやさしさ、一方で我々を拒絶するかのような厳しさも併せて描かれています。
講堂、大書院、大玄関と見て歩くことができます。
また、名勝庭園「利休好みの庭」と伝えられる中国の廬山を模して造られた庭園も見ものです。
隣接する宝物館では、桃山時代に全盛期であった狩野派に対抗して、独自の画風を確立した長谷川等伯の障壁画(国宝)も拝見できました。
だれでも利用できる「宿坊 智積院会館」も隣接しています。
交通アクセス
JR京都駅より市バス206系統、207系統、208系統「東山七条」で下車。
真言宗泉涌寺派「総本山御寺 泉涌寺」
総本山智積院から東大路通りを南へ15分。
泉涌寺道交差点を東へ進むと「泉涌寺総門」が見えます。
総門をくぐり、木々に囲まれた参道を進むと、都会の喧騒を忘れさせてくれるような、聖域が続きます。
東山三十六峰の一嶺、月輪山の麓に静かにたたずむ泉涌寺の大門までは、坂が続き多数の山内寺院や今熊野観音寺があります。
坂を上って約10分、左手に泉涌寺大門に到着します。
拝観料500円を納めて、中に進むと、正面に仏殿を見ることができます。
仏殿に進み前に左手に「楊貴妃観音像(重要文化財)」が祀られる楊貴妃観音堂へ立ち寄り「美人お守り」なんかをお土産に買ってしましました。
さて、元の道に戻り、泉涌寺の仏殿、舎利殿に向かいます。
仏殿は寛文8年徳川家綱によって再建されたもので、一重もこし付入母屋造り本瓦葺、唐式建築の代表作です。
仏殿には、伝運慶作の阿弥陀、釈迦、弥勒の三世仏が安置さえています。
舎利堂は御所にあった御殿を寛永年間に改装再建したもので内陣の宝塔内には安貞2年請来の仏牙舎利を安置しています。
仏牙舎利は、印度・兜卒天(とそつてん)・中国に伝わる不可思議な舎利で、釈迦の歯にあたり、説法される口に有ることから特に尊い舎利だといわれています。
仏殿の右手には、泉涌寺の名の由来となった清泉を覆う屋形「泉涌水屋形」があります。
泉涌寺の開山俊芿律師が伽藍を造営した際、ここに清泉が涌き出たので寺名を泉涌寺と改めたと伝えられています。
更に奥に進むと、霊明殿、勅使門、御座所と続きます。
勅使門は皇族方や天皇の勅使が寺を訪れた際に開けられるものです。
泉涌寺内を見学した後、帰り際に、今熊野観音寺へ近道の案内を見て、道を右にそれると「来迎院」というお寺を発見。
「来迎院」
拝観料もないようなので、門をくぐり中に入ると、荒神坐像とその護法神五躯が安置される荒神堂。
その傍らに、弘法大師が独鈷をもってうがったと伝えれれる見名水・独鈷水があります(飲めません)。
弘法大師の像を3回まわってお大師様にお願いをする「祈願の御石」もあります。
また、忠臣蔵の大石良雄(内蔵助)が山科に浪宅を構えたころの檀家であったことから、寄進された茶室や大石の念持仏とされる勝軍地蔵尊など、赤穂浪士に関する遺品を多数蔵しています。
茶室の庭園は池泉回遊式の庭園で秋の紅葉を楽しむことができます。
「来迎院」を後に進むと「今熊野観音寺」へと行けます。
交通アクセスと参拝料金等
JR京都駅市バスの208系統「泉涌寺道」下車。
今回の散策は、師走の温かい日和に訪れたせいか、人が少なくて気持ちの良い1日でした。
こんな時期を選んで訪れるのも良いかもしれません(合掌)
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